こんにちは、講師の原口です。
4月に入りましたね。進学や就職など、新しいスタートをきった方も多いのではないでしょうか。
私もこれまで何度か新天地での生活を経験しましたが、生まれつき全盲の私には、引っ越して真っ先に行うことがあります。それは「道を覚えること」です。

講師の原口が白杖を使用している様子

目が見える方は地図を見ながら、「オレンジの看板のパン屋さんを右に曲がり、自販機が3台並んでいる角を左に曲がり、細い路地をまっすぐ歩いたところのアパート」などと、見える情報で道を覚えていると思います。

しかし私の場合は違います。まずは、家族や友人など、目が見える人に付き合ってもらい、駅からアパートまでを何度か往復します。そしてその中で「自分の目印」を見つけるのです。例えば先ほどと同じ道でも、「パンの香りがしてきたら右に曲がり、自販機の音が聞こえてきたら角を左に曲がり、足元がボコボコの道路を20mぐらい歩いたところのアパート」と、匂い・音・足の感覚などを目印に覚えているのです。

見える人からは「自販機から音聞こえる?」とよく不思議がられるのですが、かすかに「ブーン」と鳴っています。

しかし、こうした目印は雨の日には聞こえなかったり、時間帯によっては感じることができなかったりするので、最初は迷子になることも多いです。新天地での生活に不安はつきものですが、声をかけてくれる人の優しさをいつもよりもたくさん感じることができる、特別な時でもあります。